Washi+Performing Arts? Project vol.6 演出・振付 鈴木竜 × 音楽 棚川寛子「いとなむ」/2021.09.24−25

「いとなむ」公演フライヤー表面。
仁淀川に水飛沫をあげて背中から飛び込む男性の写真。

コンテンポラリーダンス界で注目を集める振付家・ダンサーの鈴木竜と、舞台音楽家として世界を舞台に活躍する棚川寛子がタッグを組み、「土佐和紙」をテーマにした新しい舞台芸術作品の創造に挑みます。

イベント情報

日時

2021年9月24日(金)開場19時/開演19時30分(アフタートークあり)
9月25日(土)開場14時30分/開演15時

会場
料金

一般前売:2,000円 一般当日:2,500円 
高校生以下前売:1,000円 高校生以下当日:1,500円
※土佐市在住小中高校生無料特典あり

※全席自由、未就学児入場不可

Director’s note

土佐和紙とは、一体なんなのでしょうか?

土佐和紙について学び、その深みを知れば知るほど、私には土佐和紙がわからなくなっていきます。確かに世間から土佐和紙と呼ばれている物体は存在するのですが、私にはそこに土佐和紙の本質を見出すことができないのです。 

私は、土佐和紙とはひとつの生命なのではないかと考えています。 

鴨長明は「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」と方丈記で書いています。流れる川は絶えることがありませんが、そこを流れる水は常に新しいものです。土佐和紙の営みも同じように時代を超えて綿々と受け継がれ、そこに関わる自然や人はとどまることなく変化し続けています。この1000年に渡る歴史の連続性と、製紙業に関わる様々な仕事に従事する人々による紙漉きの営みは、まるで新陳代謝を繰り返してその生命を維持する生き物のように私には感じられるのです。この生命性に、土佐和紙の本質は宿るのではないかと私は考えます。 

私たちが土佐和紙と呼んでいるのは物質的な紙そのものではなく、それを生み出す土佐の自然、人、技術などで構成される紙漉きの営みの総体のことなのではないでしょうか。この土佐和紙の営みをダンス・音楽・テキストなど、身体を媒体とした様々な表現手法により生命体として舞台上に現出させ、土佐和紙の本質を問うことが今回のクリエーションを通して私が試みたいことであります。 

『いとなむ』は、土佐和紙という生命のまだ誰も見たことのない新たな姿です。

演出・振付 鈴木竜

写真:仁淀川に水飛沫をあげて背中からダイブする男性。

Artists Profiles

鈴木竜
振付家/ダンサー

Dance Base Yokohama アソシエイトコレオグラファー。横浜に生まれ、山梨・和歌山・東京で育ち、英国ランベール・スクールで学ぶ。ダンサーとしてアクラム・カーン、シディ・ラルビ・シェルカウイ、フィリップ・デュクフレ、平山素子、近藤良平、小㞍健太、夏木マリなど国内外の作家による作品に出演。振付家としても多数の作品を発表しており、国内外で上演されている。神楽坂セッションハウスより第3回セッションベスト賞を受賞。横浜ダンスコレクション2017コンペティションⅠでは、「若手振付家のためのフランス大使館賞」、「MASDANZA賞」、「シビウ国際演劇祭賞」を史上初のトリプル受賞するなど、大きな注目と期待を集めている若手振付家である。

棚川寛子
舞台音楽家

演劇作品の音楽を作曲し、劇中で演奏する俳優への指導も併せて行う。フランスアヴィニョン演劇祭正式招聘作品として静岡県舞台芸術センター(SPAC)制作2014年「マハーバーラタ」、2017年「アンティゴネ」の音楽を担当。2017年、歌舞伎座での新作歌舞伎 尾上菊之助主演『極付印度伝マハーバーラタ戦記』の音楽を担当。2018年、フランス・コリーヌ国立劇場がシーズン開幕作を日本の劇団SPACへ委嘱した「Révélation 顕れ」の音楽を担当。他には小中学校、特別支援学校、児童養護施設等に於けるワークショップや、ポータブルな本格演劇「テーブルシアター」でも活動を続けている。しかし本人は正規の音楽教育を受けておらず、謂わばこの分野でのアウトサイダーアーティストとも言える稀有な存在である。

出演者

井上貴子

早稲田大学第一文学部卒。1993 年双数姉妹に入団以降、2013年の活動休止公演まで、 劇団の中心メンバーとしてほぼ全ての劇団公演に出演。その間1年間の、NY、ロンドンへの留学、シビウ演劇祭へのボランティア参加など、異文化との出会い、交流にも深い関心をもつ。また、西巣鴨創造舎における 『子どもに見せたい舞台』シリーズなど、子どもやファミリー層を対象とした先品にも多数出演。2016年に、俳優4人で演劇ユニット「へんてこドロップ」を立ち上げ、小学校や保育園等における作品上演の活動を開始。音楽の生演奏や、フィジカルな表現方法を盛り込んだ、大人も子ども楽しめる作品の創作を目指し、「いつもの場所を劇場に」をモットーに各地に演劇を届ける活動を続けている。個人としても、高知での公募の小中学生が出演する舞台作品の作、演出など、俳優という枠を越えて、活動の幅を広げている。<最近の主な出演作品>2019年「お兄ちゃんの樹」作・演出 高山広、「PAPER」(ワークインプログレス公演)作・演出 チョン・ツェ・シェン 2021年「あなた本当はアレですよね」作・演出 川崎悦子

植田崇幸

俳優、ダンサー、1990年生まれ、兵庫県姫路市出身。
桜美林大学在学中は演劇に明け暮れ、卒業と同時にコンテンポラリーダンス作品にも出演し、現在は俳優としてもダンサーとしても活動している。俳優として夏木マリ、小野寺修二、今井朋彦、谷賢一、山本卓卓、市原佐都子の演出作品に、ダンサーとして近藤良平、小㞍健太、北尾亘、鈴木竜、エラ・ホチルドの振付作品に出演。現在フリーで活動中。CoRich優秀俳優賞受賞(2010)

黒木佳奈

東京音楽大学ピアノ科卒業。在学中より、演劇活動を始める。現在は、特技であるピアノ演奏や琵琶の弾唱を活かしつつ、俳優として精力的に演劇活動を行っている。また最近では、東東京を中心に活動する自身の演劇ユニット・疎開サロンでは、拠点となる一軒家で喫茶店を経営中。黒テントアクターズワークショップ修了。

鈴木真理子

静岡県磐田市出身、在住。昭和音楽大学音楽芸術運営学科ミュージカルコース卒業後、2012年『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』(演出:宮城聰)よりSPACに参加。2020年『グリム童話〜少女と悪魔と風車小屋〜』(演出:宮城總)では主演の少女役を務める。その他には『真夏の夜の夢』、『アンティゴネ』(演出:宮城聰)、『サーカス物語』 (演出:ユディ・タジュディン)、 『変身』(演出:小野寺修二)などに出演。

福盛進也

大阪市出身。
2018年、ECMから日本人二人目となるリーダーアルバム”For 2 Akis”を世界リリース。2020年には自身のレーベ ルnagaluを立ち上げ、”Another Story”を発表。翌2021年には第二のレーベルS/N Allianceも設立し、プロデュース業にも力を入れる。独特で繊細なシンバルワーク、そして空間を自由に生み出し色とりどりに展開する演奏は世界中でも一目を置かれている。

Credits

主催:高知県立美術館、Washi+、La forêt、公益社団法人全国公立文化施設協会
共催:土佐市教育委員会
企画制作:Washi+、La forêt
インタビュー協力:尾崎製紙所、尾﨑伸安、田中求(高知大学教授)、鹿敷製紙株式会社、(株)四国わがみ、高知県立紙産業技術センター
協力:いの町立神谷小中学校、演劇ネットワーク演会、領木隆行
後援:高知県教育委員会、いの町紙の博物館、(社)高知県製紙工業会、高知県​手すき和紙協同組合​

舞台監督:出口裕家(有)イグジットオーガニゼイション
照明:中嶋敏雄(株)四国舞台テレビ照明
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)
衣装:露口 亜美(QUETICO)、惠美 尚子(Soluz)
宣伝写真:深田名江
記録映像:志和樹果
記録写真:釣井泰輔

統括プロデューサー:浜田あゆみ

制作:山浦日紗子
制作補佐:辰己ゆり